Readingテスト@TOEIC Listening & Reading Testでは、さまざまな英文テキストを読んで、パートごとに異なるタイプの問題に取り組みます。Part 5~7の3部構成で、各パートの始めに、テスト内容の説明(”Directions”)が記載されています。もちろん、テスト内容を予め知っていれば、テスト中にわざわざ読む必要はありません。Readingテストの所要時間は75分、Part 5で30問、Part 6で16問、Part 7で54問の計100問の出題です。
時間配分
Readingテストは、とにかく時間が足りません。1分1秒を争う、短距離走のようなものです。ほとんどの人が最後まで余裕を持って解くことができませんが、高得点を狙ううえで目指すべき時間配分は下記の通りです。
・Part 5:30問を12分
・Part 6:16問を8分
・Part 7:54問を55分
テスト中は机の上に時計を置いて、しっかり時間管理しましょう。また、下記の記事中のTOEIC Tipsでも紹介したマークシートに最適なシャーペンを用意しておくと、効率良く塗りつぶせますし、残り1分で間に合わなかった問題を全部Cで塗っておくということも素早くできますのでお勧めです。
Part 5: Incomplete Sentences
Part 5は短文穴埋め問題です(30問)。使って良い時間は、理想的には12分ですので、平均して1問を24秒で解かないといけないことになります。問題としては、単語かフレーズが欠けた単文に対して、その単文を完成させるのに最適な英単語を4つの中から1つ選択します。
TOEIC Reading Part 5 公式サンプル問題
例えば、下記のような単文穴埋め問題です(公式サンプル問題を少し改変)。
(A) complication
(B) complicates
(C) complicate
(D) complicated
選択肢には、
(A) 名詞
(B) 動詞(3人称単数現在のs、いわゆる3単現のs付き)
(C) 動詞
(D) 形容詞
と並んでいますので、文法的、あるいは英文の構造的に正しい品詞を選ぶ問題、ということになります。be動詞のare、副詞のoften, unnecessarilyと来ていますので、続くのは形容詞のcomplicated、正解は(D)です。文章や英単語の意味は分かった方が良いのですが、もし分からなくても、英文の構造を理解し、動詞の原形に-ingや-edが付くことで、現在分詞や過去分詞と言って、形容詞的に用いられる、という文法を知っていれば、何とか正解できる問題です。
(A) despite
(B) except
(C) since
(D) during
選択肢には、
(A) …にもかかわらず ※前置詞
(B) …を除いて ※前置詞 or 接続詞
(C) …以来 ※前置詞 or 接続詞
(D) …の間 ※前置詞
と並んでおり、それぞれの英単語の意味が異なります。ついでに品詞も異なりますが、4つの選択肢でバラけていませんので、ここでは決定打にはなりません。文章全体の意味を読み解いて、自然な意味の文になりそうな、”彼がセールス部門に加わって以来”、すなわち正解は(C)です。文章自体の意味、選択肢に上がっている4つの英単語の意味を知らないと正解できない問題です。つまり語彙力が必要ということになります。
(A) who
(B) whose
(C) they
(D) those
選択肢には、
(A) 主格の関係代名詞
(B) 所有格の関係代名詞
(C) 主格の代名詞
(D) 主格 or 所有格 or 目的格の指示代名詞 ※指示代名詞thatの複数形
と並んでいますが、いずれも代名詞なので、各英単語の意味を追っても仕方ありません。従って、文法的に正しいのはどれかと見ていきます。前置詞の後ろに代名詞を置くときは目的格になりますので、この問題の場合は、前置詞amongの後ろに置けるのは、目的格のthose、正解は(D)です。空欄の直後のrecognizedが動詞なのか過去分詞なのか、そこだけ見ると分からず、(A)や(C)も主語+動詞で成り立ちそうですが、そもそも前に前置詞があるということを見落とさないようにしましょう。ところで、この問題の英文構造は、倒置になっています。文頭にamongが来たら倒置!意味としては、表彰式で表彰された人々のうちの一人が、アナとケイトでした、のような感じです。
(A) immediate
(B) synthetic
(C) reasonable
(D) assumed
選択肢には、
(A) 直接の、即座の
(B) 合成の、人工的な
(C) 筋の通った、手頃な
(D) 装った、想定上の
と形容詞が並んでおり、それぞれの英単語の意味が異なります。文章全体の意味を読み解いて、自然な意味の文になりそうな、”合成染料を含まない”、すなわち正解は(B)です。もちろん、syntheticの意味を知らなければ、消去法で答えを導き出すこともできます。が、そうだとしても、文章自体の意味、選択肢に上がっている少なくとも3つの英単語の意味を知らないと正解できません。つまり語彙力が必要ということになります。
以上見てきたように、Part 5に必要なのは、文法力、語彙力、速読力です。従って学習方法としては、英文法の参考書を使って文法力を強化する、Part 5の問題をひたすらこなして文法力と速読力を高める、英単語学習をしながら短めの文章の意味を素早く取る練習をすることで語彙力と速読力を上げるのが効果的です。なお、英語の速読力を上げるには、意味を前から取っていくようにしましょう。上のNo.104で倒置が出てきましたが、”アナとケイトは、会社の表彰式で表彰された人のうちの一人です”、ではなく、”会社の表彰式で表彰された人々のうちの一人が、アナとケイトでした”、でもなく、”表彰されたうちの一人が、会社の表彰式で、アナとケイトでした”という感じに、前から訳していき、頭の中で何となく意味を掴むという処理をしましょう。そうしないと、英文を読みながら、意味を取るために後ろから前、前から後ろ、と行ったり来たりすることになり、非常に効率が悪く、速読できません。
Part 5のポイントは、悩まないこと、です。悩んでいる暇はありません。上記では文法的な解説を入れましたが、テスト本番で、これは代名詞、これは関係代名詞、これは目的格、これは所有格、などと指差し確認している時間はありません。ほぼ直感で回答を選択できるまで、英文法や英単語をあなたの血肉に昇華させないといけません。そのためには、上記英語学習を地道に、確実に実施しましょう。
Part 6: Close Passages
Part 6は長文穴埋め問題です(16問)。使って良い時間は、理想的には8分ですので、平均して1問を30秒で解かないといけないことになります。問題としては、単語、フレーズ、単文が4箇所欠けた4つの長文に対して、その文章を完成させるのに最適な回答を4つの中から1つ選択します。長文は、e-mail、ビジネスレター、記事などが題材になっています。
TOEIC Reading Part 6 公式サンプル問題
例えば、下記のような長文穴埋め問題です(公式サンプル問題を少し改変)。
To: Project Leaders
From: Jack Shephard
Subject: Training Courses
To all Shephard Designs project leaders:
In the coming weeks, we will be organizing several training sessions for —131— employees. At Shephard Designs, we believe that with the proper help and support from our senior project leaders, less experienced staff can quickly —132— a deep understanding of the design process. —133—, they can improve their ability to communicate effectively across divisions. When employees at all experience levels interact, every employee’s competence level rises and the business overall benefits. For that reason, we are urging experienced project leaders to attend each one of the interactive seminars that will be held throughout the coming month. —134—.
Thank you for your support.
Jack Shephard
Shephard Designs
(A) interest
(B) interests
(C) interested
(D) interesting
選択肢には、Part 5にあったような品詞違いの英単語が並んでいます。空欄の前に前置詞、後に名詞が来ていますので、間に入るのは形容詞、つまり(C)か(D)になります。ただし意味的には、(D)興味深い従業員にトレーニングセッションを開催する、のではなく、(C)関心を持った従業員にトレーニングセッションを開催する、方が自然ですので、正解は(C)です。
(A) develop
(B) raise
(C) open
(D) complete
選択肢には、こちらもPart 5にあったような、意味が異なる動詞が並んでいます。空欄の前には”経験の乏しい従業員が素早く~”とあり、後には”デザインプロセスの深い理解を”とありますので、雰囲気的には(A)でも(B)でも(D)でもいけそうです。ところが、develop an understanding of …で、…への理解を深める、というイディオムがあるのです。従って正解は(A)です。この問題は、このイディオムを知っているか、developの使われるニュアンス・雰囲気を知っていないと正解できないでしょう。
(A) After all
(B) For
(C) Even so
(D) At the same time
選択肢には、意味が異なる接続詞っぽいものが並んでいます。接続詞は、前後の文の関係を示すものですので、前後の文章を見てみましょう。空欄の前は、”経験の乏しい従業員が素早くデザインプロセスの理解を深められる”とあり、後ろには、”効果的にコミュニケーションする能力を向上できる”とあります。良いことばかり、ということですね。つまり、Aの結果B、BだからAといった順接の関係でも、AだとしてもBといった逆接の関係でもなく、AであるうえにBといった並列の関係ということです。従って正解は(D)です。
(A) Let me explain our plans for on-site staff training.
(B) We hope that you will strongly consider joining us.
(C) Today’s training session will be postponed until Monday.
(D) This is the first in a series of such lectures.
選択肢には、英文が並んでいます。つまり、全体の流れに相応しい文章を選ばないといけません。空欄の前を見ると、トレーニングセッションの利点を色々述べた最後に、”経験豊富なプロジェクトリーダーに参加を要請している”とあります。となれば、最後に来る一言は、”ひとつよろしく頼むよ”的な、期待を示す何かであるはずです。従って正解は(B)です。この単文を挿入する問題は、文章全体の意味、流れを理解しないと難しく、読解力が必要になります。時間が無い中で、何度も文章全体を読み直している暇はありませんので、文挿入問題で迷ったらさっさと捨てましょう。
以上見てきたように、Part 6では、Part 5でも挙げた文法力、語彙力、速読力に加え、読解力が必要です。従って学習方法としては、Part 5に向けた学習方法で、文法力と語彙力、単文に対する速読力を強化したうえで、Part 6の問題をひたすらこなすか、同程度の長さの英文を、前から意味を取りながら早く読んでいく練習をするのが、速読力と読解力の向上に効果的です。
Part 6のポイントは、Part 5同様、悩まないことです。ほぼ直感で回答を選択できるまで、英文法や英単語をあなたの血肉に昇華させないといけません。そのためには、上記英語学習を地道に、確実に実施しましょう。加えて、速読力&読解力が必要で、英文を前から訳し、大意を掴むことが重要です。
英語と日本語は、そもそも文章の構造が異なります。英語を理解する過程で、わざわざ日本語の文章の並び順に並び替えていると時間が掛かってしまいます。英語の文章構造のまま、文頭から文末に向かって順に意味を取っていき、何となく全体の意味を取る、日本語的に変なのは気にしない、という気構えでいきましょう。
Part 7: Reading Comprehension
Part 7は長文読解問題です。1つの文章を読んで答える問題が10題29問(1題につき2~4問)2つの文章を読んで答える問題が2題10問(1題につき5問)、3つの文章を読んで答える問題が3題15問(1題につき5問)の計15題54問です。使って良い時間は、理想的には55分ですので、平均して1問を60秒で解かないといけないことになります。長文の題材は、雑誌や新聞の記事、e-mail、お知らせなどで、その内容に関しての問題に対する回答を4つの中から1つ選択します。
TOEIC Reading Part 7-1 公式サンプル問題
TOEIC Reading Part 7-2 公式サンプル問題
TOEIC Reading Part 7-3 公式サンプル問題
TOEIC Reading Part 7-4 公式サンプル問題
例えば、下記のような長文読解問題です(公式サンプル問題を少し改変)。
Used Car For Sale. Six-year-old Lexus. Only one owner. Low mileage. Car used to commute short distances to town. Brakes and tires replaced six months ago. Struts replaced two weeks ago. Air conditioning works well, but heater takes a while to warm up. Brand new spare tire included. Priced to sell. Owner going overseas at the end of this month and must sell the car. Call Ana Lucia at (123) 456-7890.
(A) It was recently repaired.
(B) It has had more than one owner.
(C) It is very fuel efficient.
(D) It has been on sale for six months.
選択肢には、
(A) 最近修理された
(B) 1人以上のオーナーたいた
(C) 燃費効率が良い
(D) セールに出て6ヶ月間経つ
とあり、(B)-(D)は本文に書かれておらず、一方で、ブレーキやタイヤ、ストラットが交換されたことが書かれており、従って正解は(A)です。
(A) She cannot repair the car’s temperature control.
(B) She finds it difficult to maintain.
(C) She would like to have a newer model.
(D) She is leaving for another country.
選択肢には、
(A) 温度コントロールを修理できない
(B) 維持するのが困難だと分かった
(C) 新しいモデルが欲しい
(D) 他の国に移る
とあり、(A)-(C)は本文に書かれておらず、一方で、海外に今月末に行き、車を売らなければならないことが書かれており、従って正解は(D)です。
以上見てきたように、文法力、語彙力はもちろんのこと、Part 7では、速読力と読解力が必要です。従って学習方法としては、Part 7の問題をひたすらこなすか、同程度の長さの英文を、前から意味を取りながら早く読んでいく練習をするのが、速読力と読解力の向上に効果的です。
Part 6にも通じますが、Part 7のポイントはまず、本文上の”refer to the following ~”の、~の語句を見て、題材を把握することです。上の例では、”advertisement”となっていますので、何かの広告なんだと分かります。また、出題されるタイプとしては、英文の中身について尋ねられる問題の他に、本文中に登場する英単語の類義語を尋ねられる問題もあります。これはあなたの語彙力を試される問題ですね。
特に難易度が高いのは、以下の3つです。
・本文中に書かれていないのはどれか、という“NOT”が含まれる問題
・与えられた文を挿入するのはどこが適切か、という文挿入問題
・本文中に書かれているのはどれか、という内容一致問題
いずれも、1つ1つの回答選択肢を本文全体と照らし合わせて吟味しないといけないので、時間が掛かりがちです。従って、迷ったらさっさと捨てて、次の簡単な問題に移りましょう。
Part 7では、2つの文章や、3つの文章を読んで問題に答えるパートが後半に控えており、どんどん難易度が上がっていきますが、時間内にやり切れる実力が付けば、あなたの英語力は、日常生活では不便が無いレベルでしょう。
最後に
TOEIC Listening & Reading TestでのReadingテストでは、さまざまな英文テキストを読んで、異なるタイプの問題に取り組むことで、あなたの語彙力や読解力が試されますが、ここまで見てきたように、Part 5からPart 7まで難易度が上がっていきますので、あなたのレベルに応じて、重点的に学習するパートを分けると良いでしょう。
・Part 5の問題をひたすらこなすことによる、文法力と速読力の向上
・Part 6の問題をひたすらこなすことによる、速読力と読解力の強化
・Part 7の問題をひたすらこなすことによる、速読力と読解力の強化
・英単語学習をしながら、短い文章の意味を素早く取る練習による、語彙力と速読力の強化
・英語を英語の文章構造のまま、前から意味を理解することによる、速読力の強化